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2011年01月23日

嬉しいお手紙

先日仕事から帰ってくると、玄関先に見慣れない手紙が。




ん?と思い早速開けてみると…




なんと中には手作りの絵手紙と共に、素敵な手紙が入ってました!!







風と信仰を紡ぐ島【生月ikitsuki】 





この一年、うちの牧場長が平戸市立生月小学校5年生の「食と農」の活動に、農協青年部として携わってきました。


田植えから始まり、稲刈り、餅つきと、米を育てて食べるまでの一連の流れを子供たちに教えてきました。




夏時期田んぼにでたマムシ蛇を子供の前で退治して、女の子たちから「きゃー!!叫び」なんて言われながら(笑)




その米作の合間を縫って、「金次郎物語」を通してウシの命について話をしてきたのは、このブログでも紹介しています。






その生月小学校5年生からお礼の手紙が届いていたのですキラキラ




まさかこんな手紙をもらえるとは思っていなかったので、これを作ったり書いたりしているみんなを思い浮かべながら玄関先でしばし「うるうるうるっ」ときていました。






みんなありがとう!!


この手紙、大事に額縁に入れて牛舎に飾っておきます!!


posted by shell at 08:04 | 長崎 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 牛飼いの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年12月07日

なかのり号のお話

以前映画「ブタがいた教室」のことをブログに書きましたが、そのお話に近いウシバージョンもありました。




「奇蹟の近江牛(おうみうし)物語」というものです。






風と信仰を紡ぐ島【生月ikitsuki】 





牛の年齢はだいたい20歳くらいなのですが、22歳まで元気で生きて、その間に19頭の子牛を産んだスーパー母ちゃん牛「なかのり号」のお話です。




食肉になる牛はだいたい3年くらいで出荷されます。


でも繁殖牛(子牛を産むための牛)は食肉向けではないので、長く飼育します。




しかし繁殖牛が歳をとると種つきも悪くなるし、乳の出も悪くなるし、母体への負担が大きくなり効率が悪くなるので、うちの牧場では長くて10産くらいをメドに入れ替えをしています。




20産目も出来そうなくらい元気ななかのり号でしたが、飼い主の方はこれ以上子牛を産ませたくないと思いました。


今まで本当に頑張ってきたんだものね。




どうすればなかのり号への「はなむけ」になるのか、飼い主と近所の方々は考えました。




そこで出た答え。




「”なかのりさん”を美味しい料理にしてたくさんの人に食べてもらおう」




というものでした。




高齢ということもあり、美味しい肉になるかどうか不安もありました。


しかしこの「食べ物となる命」をみんなで見つめようという動きは、たくさんの心ある人たちに広がっていきます。




このなかのり号の前で、私が秘かにファンである獣医師の松本大策先生が子どもたちにお話をされています。




「食肉センターに出荷される牛の中には、とても嫌がって抵抗する子もいるけど、そんな時おじちゃんは牛さんの目を見て話しかけてあげるの。


『自分だっていつか死ぬけど、お前のように立派に人の役に立って死ねるかどうか自信がない。


お前は偉い!立派だよ。皮もお肉もひとつも無駄にせず役立ててくれるんだから。』




そういうと牛さんは納得してトラックに乗ってくれるんだよ。


命あるものはみんな、誰かの役に立ち、誰かを幸せにするために産まれてきたってことが牛さんにもわかるんだね・・・。」








実はね、私は人前では「ウシは皆さんが美味しく食べてくれることが幸せなんです」なんて言っておきながら、ひねくれた物の見方をしている部分もありました。




「人の為に、食べられる為に殺されて、なにが嬉しいもんか」って。


「人が自分の行為を正当化するために、そう思い込んでるだけやろ。牛の気持ちなんてわかりゃしないのに…」




なんてね。






でも松本先生のお話を聞いて、なんだか1つ壁がクリアになったような気がしました。




私たち人は、潜在意識の中で大なり小なり「誰かの役に立ちたい」という思いが必ずあります。






DVDの中で松本先生が子どもたちに話しかけています。




「将来大きくなったら、なにになりたい?」






歌手?


野球選手?


消防士?


女優?




理由は?




カッコいい


綺麗だから


お金持ちになれそうなど、いろいろありますよね。






そのなりたいという思いの裏に、「誰かを喜ばせたい」「誰かを助けたい」「誰かに喜んでもらいたい」など、必ず誰かの為に、という思いがあります。




人は1人でも生きていけるけど、独りでは生きていけない。






それはウシも一緒なんじゃないかなってね。




というか、「ウシには誰かの為になりたいという思いはない」と決めることはできないという方がいいかもしれません。消極的ですけど。








このDVDと冊子は平戸市立生月小学校に寄贈させていただきました。




長いDVDではないので、気軽に観ることができます。


何かの折に活用してもらえたらなぁと思います(*^^)


posted by shell at 07:50 | 長崎 ☀ | Comment(5) | TrackBack(0) | 牛飼いの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年11月14日

畜産市長の「口蹄疫」130日の闘い

先日Amazonで頼んだ本が昨日届きました。






畜産市長の「口蹄疫」130日の闘い/橋田和実



¥1,680

Amazon.co.jp




「伝えられなかった生々しい現場の声がここに」




「悲鳴と怒号。そして決断へ!」






宮崎県西都市 橋田和実市長の手記です。




今回の口蹄疫ではメディアがいかに頼りにならないかを思い知らされました。


実際に現場ではどういうことが行われていたのか、現場の本音、葛藤…




こうして本として現場から声を発信していだたいたことは、非常に苦しいことではあったと思いますがとてもありがたいことだと思うし、畜産業に関係する日本国民にとっても必要なバイブルになるでしょう。


 




読んでいるとまず涙が浮かんできました。




そして胸が詰まり、息苦しくなりました。




活字から目をそむけ、本を閉じたい衝動に駆られました。




でもここで逃げたらいけないという思いもあり、宮崎で起こっていた事実を涙で滲まないよう目を見開いて読み進めました。






これは畜産を地域の産業として、重要な位置づけと捉えているリーダーに是非目を通してほしい本です。




ここに述べてあることを我が地域に応用し、学べることは無限にあります。


posted by shell at 08:52 | 長崎 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 牛飼いの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
2010年11月03日

金次郎よ永遠に

昨日は生月小学校5年生の授業「食育ワークショップ」に黒毛和牛繁殖生産農家として 呼ばれ、プチ講師をしに行ってきました。


この平戸食育ワークショップは生産者と、その生産者が生産している食材を使ってシェフが料理を作ってくれてその場で食べながら、料理した際にでる生ゴミを再利用する という食の一環を学べるものです。


昨年も6年生のクラスに呼んでいただいて話をしました。

今年も声をかけていただいた際、目新しいネタを…と思ったのですが、スライド作成担当の私に時間が無く去年作ったスライドを利用することにしました。


お話のメインは「金次郎物語」。


あまり詳しく話すと来年から使えなくなりそうなので(笑)大まかに紹介します。



7年前の春。うちの牧場にある1頭の子牛が産まれました。


黒毛和牛の子牛は産まれたときは薄茶色か灰色がかった色をしていますが、その子牛は薄い茶色だったのです。


風と信仰を紡ぐ島【生月ikitsuki】 

私には金色に見えましたね、ピッカピカきらきらの金色にビックリマーク


風と信仰を紡ぐ島【生月ikitsuki】 

当時はとても珍しくて、いろんな人が噂を聞きつけて見学に来ました。

「気持ち悪い…」という表情をしながらね(苦笑)


この毛の色の違いがどう肉質に影響するのか、異常があるのかないのか獣医もわからないと言いました。

こういう牛が産まれたことで、繁殖地として盛んなこの地域の評判にケチがつくのではないか…などいろいろなことが頭をよぎりました。



(いっそのこと産まれなかったことに…)



でもね、閉鎖的な畜産業界の体質を感じていた私はそれを逆手に取ることにしました。


まずはホームページにて紹介し、地元新聞にも売り込みました。


案の定「あまり目立ったことはしない方が。」という苦言も牧場主に来たようです。

でも私の耳には直接入らなかったので、知るもんかぃ(笑)


言いたいことがあるなら直接私に言ってきな!


そんな心境でしたね(笑)


風と信仰を紡ぐ島【生月ikitsuki】 

みんな怯えていたんだと思います。

「金次郎」と名付けたこの牛のもつ影響に。



なにが怯えさせるのか。


それはこの牛が持つ毛の色が肉質に影響あるのかどうか。

食肉として利用できるのかどうか。


それがわからなかったからです。


ならそれがわかれば、なんの不安もないじゃん。

その結果次第で、私たちのすべきことが決まる。



ってなことで、知り合いの獣医や専門機関、遺伝学博士の友人などいろいろな人に聞きまくりました。


いろんな意見をいただいた中で、共通していたものは

「問題ない」

ということでした。


この毛色がでる遺伝子もわかっており、その遺伝子を持っている種雄牛もわかっている。

また、毛色を左右する遺伝子と肉質との関係は認められていなく、よって研究もされていないということでした。


ただ、黒毛和牛として登録はできないということでした。

毛色は黒っていうのが条件の1つだから。


よってセリに出すときは無登録になるだろうということでした。



なぁんだ〜音譜

「普通と違う」というだけで、何の根拠もなくみんな気味悪がっていただけなんじゃんニコニコ


なら私たちのすることはただ一つ。


胸を張って育て上げるのみビックリマーク



セリに出すときに無登録になるため、購買者が

「どこぞの馬(牛)の骨の血が混ざっているのかわからん」

という不安を抱かぬよう、黒毛和種の子という科学的証明をするためにDNA鑑定をし、証明書も作ってもらいました。


この牛を守るために、ここまでする義務があると思ったから。





この金次郎の出荷の日は最低最悪の日で、大人になってから号泣したのはこの日が最初で最後かもしれません。


でもたまたま近くの肥育センターが金次郎を買ってくれて、ちょくちょく会いに行くことができました。

体はデカくても人懐っこさは変わらずに、私たちが会いに行けば

「撫でれラブラブ

とすり寄ってきます。


本当に可愛い牛でしたねぇ。



それから20ヶ月後。

金次郎が食肉センターに運ばれたと連絡が来ました。





今はもう物理的には存在しない金次郎。

誰かの家の食卓にあがり、誰かの命に代わった金次郎。


でもこうして7年経った今でも金次郎を思い出しながらみんなの前で話すと、金次郎は生きているんだなぁと感じざるを得ません。


そのあと口蹄疫に少しふれながら、いずれ自分の牛たちに死が来ると知っていながら愛情を持って育てている畜産農家が、なぜ病気で殺されていく牛をみて胸が張り裂けそうなほど辛いのか。という話をさせてもらいました。




こんな話を目を真っ赤にして聞いてくれた子どもたち。



その後にシェフが作ってくれた和牛肉を使った料理(マカロニのミートグラタン、平戸産野菜のサラダ、和牛ミートローフ)がでてきました。


うちの牧場の話が少し重かったので心配していましたが、みんなバクバク美味しそうに食べていました合格


うんうん、そうでなくっちゃ音譜


「可哀想だからお肉を食べられなくなっちゃった…」


それは違うの。

みんなに美味しく楽しく大事に味わって食べてもらうために、命ある頃の牛の話をしたのだからニコニコ


平戸の洋風小料理「紺や亭」レストランシェフの腕が素晴らしいこともあり、参加した保護者や私たちもバクバク頂きました。



みんな美味しい料理は大好きでも、その前と後のことにはなかなか興味を持ちません。


どんなに綺麗な料理にも、必ず生ゴミがでます。

その生ゴミにEM菌を使って力ある土に戻し、そこから元気ある野菜を育てるお話を環境・食育アドバイザーの先生にしていただきました。


頭の中もお腹も一杯になった非常に有意義な食育ワークショップでした。

今回お招きいただいて、本当にありがとうございました!



後で子ども達が書いてくれる感想が楽しみです音譜


posted by shell at 11:37 | 長崎 ☀ | Comment(5) | TrackBack(0) | 牛飼いの話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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