8年ほど前から某外科医が定期的におススメ本を貸してくれるのですが、先日久しぶりに届きました。
別の方も「この本面白かったよ!」と貸してくれました。
ゴールデンウィークは読書三昧だなとワクワクしながら最初に手に取った本は「脳に棲む魔物」。
久しぶりにガツンと衝撃を受けた内容でした。
最初は精神疾患患者の症例本かと思い読み進めていたのですが、全く違いました。
24歳の若き新聞記者の女性はある朝、左腕に違和感を覚えました。
最初は虫刺されかと思っていたのですが、徐々に違和感が全身に広がり始めます。
トコジラミが部屋中にいると思い、部屋の消毒を清掃業者に頼みます(実際にトコジラミはいなかったのですが)。
仕事への意欲も失せ、部屋の片付けもできなくなり、幻視や幻聴を感じ、そして白目をむき、口から泡を吹き、全身を痙攣させる激しい発作をおこすようになります。
げっそりと痩せ、常に妄想に襲われ、呂律もまわらず、焦点もあわず、記憶障害になり、無反応になっていきます。
医師たちは精神障害または神経疾患を疑いますが薬も効かず、原因不明。
とある医師との出会いが彼女の病名を明らかにしてくれました。
その名は「抗NMDA受容体脳炎」。
何かしらの原因で自分の細胞が脳を攻撃してしまうことがあるようです。
私がゾクッとしたのは、この病気の症状が「悪魔憑き」といわれる症状とそっくりということでした。
映画エクソシストに出てくる少女の症状は、まさにこの抗NMDA受容体脳炎の症状そのものと指摘されているようです。
日本でいうなら、狐憑きなど妖怪に憑かれた時や悪霊に憑かれたといわれる時の症状なのではないかと。
この病気が知られる前から悪魔憑きのような症状はあったと思います。
原因がわからず、祈願したり御祓いをしたりあらゆる手を尽くしても治らず、苦しみながらまたは昏睡状態になり亡くなっていった方たちもいるかもしれません。
この本を読んで、しばらく放心状態になりました。
人が正気と狂気の間を行き来するリアルな心の中を覗き見ることができたから。
映画化もされているようです。
今夜観てみよう。
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